【70年代歌謡曲】(その三) 出口の見えない末期的症状 ■私的なオーディオ感 こうしていろいろ糸口を掴もうと必死なわけですが、実際は日進月歩です。使ってる機器のリストも迷走気味。
■ガレージメーカーの知恵袋 1990年代以降、日本でガレージメーカーにスピンアウトした設計者には団塊世代の人が多いようです。実際には仕上げがイマイチとかあるのですが、かつてオーディオ・バブルからデジタル移行期を経験し、その荒波にもまれながらスピンアウトして現状のマーケティングへの批判の根底にあるのが、かつて70年代に最盛期を迎えた古いアナログ技術です。そういう人々が造る音に共通しているのは、刺激のないなめらかな質感をもったベルベットのような音です。その記憶を頼りに手作りで調整しているのかもしれません。 CECは当初LPプレイヤーの製産台数で世界有数を誇るメーカーでしたが、CD時代に突入しその技術を駆使したのがベルトドライブのCDプレイヤーです。富士通テンのタイムドメイン理論の草案者は元オンキョウのエンジニアでした。TakeTの開発者はソニーの音響研究所にいましたが20年以上技術の埋もれていたものです。SAGE音響は90年代に真空管アンプにブームがやってくる前に活躍してたメーカーです(サンスイ系列でしょうか?)。いずれにしてもこれまでのマーケティングの理屈から外れたところで造られた物が多く、繰り出すサウンドはいずれも繊細でクリアな美質を兼ね備えた製品ばかりです。RANE(Phase Linear社から独立)は70年代のディスコ・シーンのアナログ感覚を色濃く持って80年代に創業してますし、Oram氏に至っては70年代初頭にマルチトラック用のコンソールの製作で名を馳せた人です。個人的な憶測では音響的なチューニングというのは素材よりも腕のほうが遙かに大切なので、方法に囚われないで個々の技術者のもってるサウンド・イメージが強く反映しているように思われます。デジタルだからアナログだからという単純な思考はこうした人々とは無縁とも思えるときがあります。 ■ケーブル錬金術見習い 例のごとく、ある程度装置の選定が煮詰まったら接続ケーブルによるチューニングです。
基本的に色付けのないケーブルが好きで、アンプ間のバランスケーブルではOFCシールド線を使ってます。CDトランスポートからDAコンバーターの接続はSPD/IFですが、Audio Technica製の初期PCOCC線で繋いでいます。情報が若干整理されますが、音にささくれだったところがなく中低域が太くなる印象です。(他にサエクのAES/EBUケーブルがあり、比較的良質な録音ではこれを使用します。) DAコンバーターからミキサーまでは、ミキサーがRCA入力しか備えていないために、少し高価なのを奢ってStereoVoxのHDSEを使用してます。とても細い線ですが中空のパイプ銅線を使って表皮効果を無くした構造をとっているらしいです。これも中域の抜けの良さと高域のクセの無さが特長で、全体に筋肉質で弾力性のある表現をします。特にベースの弾み具合はとても好ましいです。スピーカーケーブルは銀コートですが高域にクセのないもので、直線的というよりは繊細な感じの音です。電源ケーブルのほうは、まだ対策をとっておらず今後の課題になります。 ■超音波の秘密 この手の話題は円谷プロに訊いてみたいところだが、20kHz以上の帯域のことです。アナログ再生で云われるのがこの超高域でのフィルターレスの自然な響きです。もちろんアナログ録音は高域成分そのものもエネルギー感が薄く繊細なわけですが、超高域の音はアンビエンスから風切り音などが主流で、録音レベルとしても通常の音域に比べて20dB程度低いものです。しかしこの帯域の音は臨場感を左右する情報が詰まっていて、この成分の扱いで音の気配や柔らかな倍音などの聞こえ方が変わってきます。特に70年代の録音にはプレート・リバーブがよく使われますが、これが鉄板にピックアップ・マイクを付けたシンバルのようなモノなんです。
この鉄板エコーの凄いところは、虫の声のようなアイドル系の歌手でも、この超高域成分がグワ〜ンと乗って全体に広がり感を醸し出しています。何でもリッチな音に変えてしまう魔法の箱なのです。他に電気的にコーラス・エコー(EMT社251、Aphex社Aural Exciterなど)を使う場合がありますが、鉄板エコーほど広帯域でリッチな音ではありません。デジタル時代になって何が足らないかといえば、この手の高品位なアンビエンス・マシーンということになるようにも思います。逆にテープ磁気の劣化で失われやすいのもこの成分で、一般に50年代の録音よりもモコモコした音になりやすいのは、テープ磁気箔の薄さ(古いほうが厚い)によって高域特性は伸びたものの初期状態からの変化がよりシビアになっているようです。こうした理由からレコードの初期プレス盤にプレミアが付きやすいことが起こるわけですが、一般庶民にはあまり関係のない話でございます。 もう一度最初から読み直そうか。。。なんて悠長な。 つづきは Coming Soon! ページ最初へ |